紀伊半島以南の南西日本を含むインド・西太平洋のサンゴ礁周辺に分布し、外套長50cm、体重10kgになる。
沖縄では郷土料理のイカ墨汁を始め、刺身、天ぷら、チャンプルー、燻製など多くの食材として利用されており、県民にとってはなくてはならない存在だ。
コブシメの交接はオスとメスが向かい合い、腕を絡ませながら行う。
オスが交接腕と呼ばれる腕を使って、メスに精莢(せいきょう)と呼ばれる精子の入ったカプセルを渡し、受精に至る。
この間、約5分程度。
産卵場所は枝サンゴの枝間。
メスが卵を1つ1つ丁寧に産み付けていく。
ちなみに、オスとメスの見分け方は外套の模様で、縞模様がオス、水玉模様がメスになる。
写真の場合、奥がオスで手前がメス。
メスを獲得していないオスは産卵中のメスにさえ交接を迫ってくる。
メスに寄り添っていたオスは自分のパートナーを奪われないように、相手との間に自分の体をねじ込み、激しく抵抗する。
腕を大きく広げ、相手より自分の方が大きいぞと誇示している。
体を白黒の模様に変えるのは、イカの嫌いなゼブラウツボに似せているという説があるが真相は定かではない。産んだ直後は真っ白で中の様子を見る事はできないが、徐々に半透明になり、次第に中のコブシメの姿が見えるようになってくる。
そして、70日後にはハッチアウトの瞬間を迎える。
ある時、シンデレラウミウシに寄り添うコブシメの赤ん坊を見た事がある。
ウミウシの二次鰓を海藻と勘違いしたのだろうか。
何とも微笑ましい光景だった。