水中には危険な生物がたくさん居る。
海で遊ぶ前に予備知識として知っておくと、イザという時に役に立つと思い、この記事を書いている。
危険な生物と言って誰もが最初に思いつくのがサメ。
巨大な体、大きな顎、鋭い歯はダイバーにとって簡単に致命傷となる脅威だ。
写真はカマストガリザメ。
同じ年に生まれた同じ性別のグループで群れる習性を持つ。
沖縄ではこれ以外にホホジロザメ、イタチザメ、ヨシキリザメ、アカシュモクザメ、ネムリブカなどの人を襲う可能性のあるサメが居る。
万が一襲われた場合は、大量の出血が考えられる。適切な止血をし、早急に病院へ搬送する。
ウミヘビの仲間は内湾から外洋ポイントまでどこでも見る事ができる。
写真はクロボシウミヘビ。これ以外にはイイジマウミヘビ、クロガシラウミヘビ、エラブウミヘビ、ヒロオウミヘビなども居る。
ハブの70倍とも言われる神経毒を持ち、噛まれると運動障害、吐き気、呼吸筋麻痺などを起こし、最悪の場合 死に至る。
噛まれた場合は、傷口から体の中心部の間を布などで縛る。また、傷口から毒を吸引するなどの処置をしながら病院へ搬送する。
オオマルモンダコは小さい体に似合わず強力なフグ毒(テトロドトキシン)を持つ。
噛まれた時の症状は、しびれや目まいの後に全身麻痺が起こり90分後には生命の危機になる。
処置は、ウミヘビの場合と同じで、傷口から体の中心部の間を布などで縛り、傷口から毒を吸引するなどの処置をしながら病院へ搬送する。
この時、毒を口で吸い出すと、飲み込む可能性があるのでポイズンリムーバーなどを使うと良い。
ナイトダイビングで良く見かけるが、日中は岩の下などに隠れている。
ヒトデの中で猛毒を持つものがオニヒトデだ。
数十年サイクルで大量発生し、サンゴに大きな食害をもたらす。
棘に刺されると、毒が体内に入り赤く腫れ上がる。ひどい場合は化膿したり壊死したりする。
アナフィラキシーショックで死亡に至る場合もある。
処置は傷口に棘が残っている場合は抜き、流水で良く洗い流す。
また、患部を40~50度程度に温めると痛みが和らぐ。
オコゼやカサゴの仲間もヒレに毒のある棘を持っている。
特にオニダルマオコゼの背ビレの棘は強力で、厚い靴底も貫通する。
タイドプールなどの浅い所にも居て、岩に擬態したり、砂に潜る事もあるので、磯遊びの場合も注意が必要だ。
刺された場合、傷口から全身へと痛みが広がる。
傷口は腫れ、頭痛、吐き気、リンパ腺の腫れ、呼吸困難などが起こる。
傷口に棘が残っている場合は抜き、流水で良く洗い流す。
患部を40~50度程度に温めたり、アンモニア、酢などをかけると痛みが和らぐ。
クラゲの被害も良く聞くが、その中でも特に気を付けなければならないのがハブクラゲだ。
6月から9月、内湾などの流れのない場所で発生する。大きいものは1mを越える。
刺されるとミミズ腫れになり激痛を伴う。呼吸困難を起こす場合もあり、死亡例もある。
処置は傷口をたくさんの食酢で洗い流し、触手が付着している場合はていねいに取り除く。
痛みがある場合は冷水や氷で冷やすと良い。
ダツの仲間は鋭く尖った顎を持つ。
写真はヒメダツ。これ以外にはリュウキュウダツやオキザヨリなども居る。
ダツは明るいものに突進してくる習性があるので、ナイトダイビングのライトの明かりに突っ込んできて刺さる事がある。
刺さったダツを抜くと大量出血するので、そのままの状態で病院へ搬送する。
沖縄の漁師はダツはサメより怖いという。
これ以外にも、ゴンズイ、ガンガゼなどのウニ類や、産卵期のゴマモンガラ、ウンバチイソギンチャクやアナサンゴモドキ、イラモ、ガヤ類など、
数え上げればきりがないほどの危険生物が居るが、特に危険で死亡例のあるものだけを紹介してみた。
気が付けば、水中は危険な生物だらけという事になってしまうが、これらの生物が好き好んで人を襲う訳ではない。
人間の方から生物に触れたり、彼らの領域を侵しているだけなのだ。
彼らの側からすれば、自分の身を守るための最終手段として人を攻撃しているという事を忘れてはならない。
正しい知識を持って海に出かけよう。